環境省が令和3年度アジア水環境改善セミナー

 環境省は2月10日、令和3年度アジアにおける水環境改善ビジネスセミナーを開催した。同事業は水質汚濁が深刻化しているアジア諸国等への日本企業の進出を促進し、国内産業の振興と水分野での国際貢献を果たすもの。平成23年度から行われており、昨年度は大栄産業(株)がインドネシアにおける生活排水処理高度化事業を発表するなど浄化槽分野での採択も多い。今年度は(株)LIXILがインドネシアにおけるポータブルトイレシステム事業、(株)日立製作所がフィジーにおける水処理・資源循環システム事業について発表した。

 LIXILが展開する事業はインドネシアのスラム地区を対象としたもので、トイレを有していない家屋の中に、可搬型のし尿搬出タンク一体型トイレ(PTS)を設置する。満杯になったら住民が自らし尿の一時ステーションまで排出し、そのステーションも満杯になったら管理人がバキュームカーを手配し、汚泥処理施設まで搬出する流れとなっている。
 同国のスラム地区では最大40%の家屋がトイレを有しておらず、共同トイレか近隣家屋のトイレ、もしくは河川への直接排泄、レジ袋への排泄が行われており衛生環境を悪化させている。またスペース、コストの両面からセプティックタンクや下水道の整備が難しく、さらにバキュームカーの進入も困難なため、整備できたとしても清掃、し尿回収も難しくなっている。
 そこでLIXILは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)とともに、インドネシアのパレンバン市と連携し、現地用の可搬型トイレを開発。日本に現地人を招聘し、20Lのし尿タンクを持ち、ボウル洗浄機能、お尻シャワー機能を備えたPTSを、2019年度に6世帯、2020年度に25世帯に提供した。またし尿ステーションは固定型から、トラックに積載したモバイルステーションとして運用した。(続きは本紙で)