浄化槽フォーラム、配管工事費などで意見交換

 10月30日に青森県むつ市で開催された「浄化槽フォーラム in むつ」の基調講演では、むつ市の下水道事業を取り巻く経営環境の厳しさが指摘された。またパネルディスカッションでは、単独処理浄化槽の合併転換の必要性、宅内配管工事費助成の実施・拡充など、浄化槽のさらなる普及に向けて必要な施策などについて意見交換した。

 初めの基調講演に立った北海道大学大学院の遠藤誠作氏は、福島県三春町の元企業局長、総務省の地方公営企業等経営アドバイザー、福岡県田川市参与などの経歴を持ち、自治体の汚水処理事業に関して豊富な知見を有する。講演では下水道を「密度産業」と述べ、電気やガス、水道、鉄道などと同じく人口集積があることで成立する事業と説明。採算ラインの目安は人口密度40人/haで、23人/haのむつ市で採算ベースに乗せることは困難との見方を示した。特にむつ市は水洗化率(下水道接続率)が37%と低く、接続率を加味した実質的な人口密度は8.5人/haとなる。今後は人口も減少する見込みで、2045年人口指数は64.7、高齢化率44.2%と推計される。下水道には接続義務があり、違反した場合の罰金もあるが、これまで同規定が適用された事例はなく、改めて事業着手前の検討と、市民の意向ならびに接続の確約が重要である点を強調した。
 また赤字のまま下水道事業を継続しても、将来的には市の財政硬直化を招き、特色のある政策も打てなくなると説明。人口半減時代を見据え、いったん事業を止め、検証することが必要ではないかとの意見を述べた。(続きは本紙で)