環境省は7月3日、急速に普及が進む太陽光発電のリユースおよびリサイクル、適正処分、導入時の環境配慮に関する専門検討会を立ち上げる方針を固めた。省内に設置した「太陽光発電設備のリサイクル・適正処理等に関する検討チーム(チーム長=武部新環境大臣政務官)」で導き出したもので、早ければ今年夏に初会合を開く。
太陽光発電は低炭素社会実現の重要なパートを担う発電施設で、2030年には64GW(2017年9月比22GW増)まで拡大する見通しとなっている。一方で、2030年後半には年間約50〜80万t(現状は4400tほど)の太陽電池モジュールの排出が見込まれ、処理能力の不足のほか、アルミ枠を除く全量を埋め立て処分とした場合は、ピーク時には2025年度の産業廃棄物最終処分目標値の4〜7%に達し、最終処分場の残余容量への悪影響が懸念される。資源の有効利用という観点からも、単純に市場に委ねれば銀等の有用資源230〜370億円相当が未回収となる。
また近年は大規模な森林伐採など、環境への影響が懸念される事案も発生し、土砂流出や濁水、生態系への影響や景観への影響を回避・低減するための仕組みがなければ、今後さらに増加する恐れがある。
検討チームはこうした背景から設置され、今後は①適正なリユース推進に向けたリユース品に係る判断基準の整備、物流・診断の低コスト化に向けた取り組み②排出量が大幅に増加する将来を見通し、安定的処理体制の整備②製造業者等からの有害物質含有情報の提供による適正かつ円滑な処理の確保③市場におけるリサイクル・最終処分コストおよびその変動に関わらず安定的に太陽電池モジュールのリサイクルがなされる仕組みの整備④大規模太陽光発電事業を環境影響評価法の対象事業とすることも含めた、導入に当たっての環境配慮推進のための制度検討––の4項目を進めるため検討会を設置するとした。