平成29年度浄化槽出荷基数が12万基割れ

(一社)浄化槽システム協会(JSA)の調べによると、平成29年度浄化槽出荷基数は11万9479基(対前年度比4%減)だったことが分かった。同年度の住宅着工件数は94万6396戸(同2.8%減)で、新築住宅の減少により大きく足を引っ張られたと言える。浄化槽は消費増税前の駆け込み需要により平成25年度に一度増加したものの、平成14年度以降減少の一途を辿っており、厳しさを増す事業環境が浮き彫りになった。

出荷基数の内訳は、5〜50人槽の小規模合併槽が11万7963基(同4.1%減)、51人槽以上の中規模合併槽が1503基(同3.6%増)、RC・その他が13基(同225%増)だった。中心となる小規模合併槽を月別に見ると、5月が1万433基(同0.9%増)となっただけで、他の月は軒並み前年度を下回った。
一方、国土交通省が公表する同年度の住宅着工件数94万6396戸の内訳は、持家が28万2111戸(同3.3%減)、借家が41万355戸(同4%減)、分譲住宅が24万8495戸(同0.3%減)と借家の減少が著しい。これは租税法改正(平成27年)を受け、28年度に増加した賃貸アパート等の反動と見られ、30年度以降も大きく反転することはなく、同程度で推移すると考えられている。
来年10月は消費増税が予定されるなど浄化槽を取り巻く環境は厳しさを増すが、一方で「省エネ化」「単独処理浄化槽の合併転換」という好材料も存在する。省エネ化は環境省の「中・大型浄化槽システム導入推進事業」で、一定の要件を満たした大型浄化槽の本体交換に補助金が交付される。大型浄化槽は老朽化しても費用負担等の面から更新がなされにくく、業界からは新たな需要の掘り起こしが可能と期待が集まっている。
また合併転換は、環境省が見直しを進める「次期廃棄物処理施設整備計画」に「宅内配管工事を含めた合併処理浄化槽への転換を重点的かつ速やかに進める」ことが明記された。自民党浄化槽推進議員連盟でも合併転換の際に「宅内配管工事費への支援」を行うよう要望がなされており、実現すればこれまで遅々として進まなかった合併転換が加速化する可能性がある。