政府は7月27日、経済社会システム全体のグリーントランスフォーメーション(GX)を進めるため、GX実行会議を官邸に設置した。エネルギーの再構築と安定供給に必要な方策、脱炭素に向けた経済・社会、産業構造変革に向けた今後10年のロードマップが主な論点で、初会合では主要施策の一つとして期待されるカーボンプライシング(炭素税)について、1万円/t・CO2程度の高率でなければ効果が期待できないとする考察や、炭素税の導入に慎重な姿勢を示し、GXリーグ(脱炭素に取り組む企業群)での取り組みとキャップ&トレード型の排出量取引制度を推進するべきとする意見が提出された。
GXとは2050年カーボンニュートラルに向けて従来の産業構造を変革させ、温室効果ガスの排出削減と産業競争力の強化を同時に実現するもの。主要な柱は①GX経済移行債(仮)の創設②規制・支援一体型投資促進策③GXリーグの段階的発展・活用④新たな金融手法の活用⑤アジア・ゼロエミッション共同体構想など国際展開戦略――の5本で構成される。
中でも重要なのがGX経済移行債(仮)で、今後10年間で150兆円規模の投資を呼び起こすための政府財源(20兆円)として発行することが検討されている。巨額の財源を新たな規制・制度と併せ、複数年度にわたり予見可能な形で投下していくことにより、民間による長期投資、ESG資金の呼び込みを期待する。(続きは本紙で)