全国の地方公共団体が所有する浄化槽は平成28年度末時点で24万7241基で、このうち4万3490基が単独処理浄化槽であることが環境省の調べで分かった。昨年度調査より2504基減少しているが、生活排水を処理することができない単独槽は合併処理浄化槽へ転換することが努力義務として規定されている。特に住民等へ指導する立場にある地方公共団体においては、範を示す意味でも速やかに転換に着手すべきとの声もあり、さらなる転換加速化が求められる。
残存する公設単独槽を用途区分別に見ると、学校教育施設が最も多く1万1041基、次いで公衆便所等が8022基、集会場等が7100基、住居等が6910基、庁舎等が2503基、消防署・警察署が1655基、観光保養施設等が1297基、病院等が324基、保健所等が74基などと続く。
水環境保全の観点から特に深刻と考えられるのは住宅等で、内訳は公営住宅などが主に含まれる。生活雑排水の排出が多く、河川等の水質汚濁の一因になっている。また学校教育施設や公衆便所など、生活雑排水の排出が少ない、もしくはほとんどないと考えられる施設も含まれるが、そもそも単独処理浄化槽が合併処理浄化槽に比べ処理能力が劣る上、こうした施設では年数が経過し老朽化、当初の能力を発揮していない可能性や、使用実態が変わり始めている可能性がある。
環境省ではこうした公設単独槽を転換するための補助メニュー「公的施設単独処理浄化槽集中転換事業」を用意しており、同事業等を活用した速やかな合併転換を求めている。