政府の食料安定供給・農林水産業基盤強化本部が9月9日、首相官邸で開催された。スマート農林水産業の推進、農林水産物・食品の輸出促進などの方策検討、推進が目的で、岸田文雄首相は食料品の物価高騰への対応として、下水汚泥堆肥化の利用拡大を指示した。
当日は国土交通省から「下水汚泥の肥料利用促進の方向性」が示されており、肥料利用が現状は約1割にとどまり、残りの9割が焼却灰として埋立、あるいは建設資材として利用されていることを説明。持続可能な食料システムの確立に向け、下水汚泥を肥料として活用することが有効であるほか、肥料の国産化と肥料価格の抑制につなげるべく、農林水産省と連携して肥料利用の拡大を図る考えを明らかにした。
日本における化学肥料の需要は、農作物の作付面積の減少により徐々に減少傾向にあるが、近年の国際動向や国内の輸送費増加により令和3年秋頃から上昇傾向が続いている。下水汚泥の肥料化自体は新たな取り組みではないものの、以前はコスト、安全面への懸念などから導入が進まなかった汚泥由来の肥料も今回の価格高騰により現実味が増しつつある。(続きは本紙で)