公明党の山本博司参議院議員は、11月27日に開かれた参議院環境委員会で、浄化槽の整備促進と、宅内配管工事費への助成を含めた単独処理浄化槽の合併転換、浄化槽台帳システムの整備、国際展開の促進について質問した。答弁には環境省の原田義昭環境大臣、あきもと司環境副大臣、菅家一郎環境大臣政務官、山本昌宏環境再生・資源循環局長が立ち、原田環境大臣からは、合併転換の促進、宅内配管工事費の助成実現に取り組む姿勢が示された。
山本議員の質問は汚水処理未普及地域の早期解消、効率的な汚水処理手法の選択、汚水処理の地域間格差の解消から始まった。
答弁は山本局長、菅家環境大臣政務官から行われ、菅家環境大臣政務官は汚水処理未普及地域と地域間格差の解消について「浄化槽市町村整備推進事業の推進が効果的と考えている。私が会津若松市長を務めていた頃、同事業の採用により、今日までで992基の浄化槽を整備した」「また浄化槽トップセミナーや浄化槽フォーラムの開催により、首長や地域住民に直接働きかけるなど積極的な情報提供に努めている」と回答した。
山本議員はこれを受け、「単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換も課題。単独槽は近年、老朽化による破損や漏水等の事例も多く報告されており、公衆衛生上の課題となっている」「一方で、合併転換の際に発生する配管工事費の負担が転換遅れの大きな要因の一つとなっている。通常40〜50万円ほどかかるが、この負担軽減が転換に大きく寄与するのではないか」と改めて質問した。
これについて原田環境大臣は「まさに平成31年度予算において、合併転換を推進するために、浄化槽の交換と合わせて宅内配管工事費についても助成対象とすべく要求している。転換促進に向けしっかり取り組みたい」との考えを示した。
また山本議員は、浄化槽の法定検査受検率が40%程度にとどまっていることについて「基礎となる浄化槽台帳の整備が不十分な地域が多いためではないか。未来投資戦略2018においても、AIやロボット等と並び、台帳システムの整備を進めることを示しているが、今後の展開を考えると、こうしたデータベースを管理することが前提ではないか」と、環境省の見解を聞き、山本局長から「ご指摘のとおり、浄化槽の設置状況、維持管理状況の把握、合併転換に台帳システムの整備が重要と考えている。環境省としては台帳の電子化、関係機関との連携、GISの活用等、台帳システムの整備と活用に関しマニュアルを公表した。加えて今年6月に閣議決定した廃棄物処理施設整備計画でも、浄化槽台帳の整備を位置づけた。今後も整備推進に向けた方策について検討し、取り組みたい」と答えた。
終わりに山本議員は、浄化槽の海外展開について「インフラシステムの輸出戦略で、2020年までに約30兆円のインフラシステム受注を目指しているが、この機会に戦略的な国際展開を強化すべきではないか」と質問。
これについてはあきもと環境副大臣から、「浄化槽の海外での設置基数は、平成29年度で累計1万3000基と拡大している。環境省としても昨年、環境省インフラ海外展開基本戦略を策定し、浄化槽を位置づけたところ」「トップセールス、浄化槽セミナーによる技術のPR等実施している。今週末もインドで会議が予定されているが、出席がかなえば私自身トップセールスをしてまいりたい」と答えた。