国土交通省の調べによると、汚水処理施設の令和8年度概成に向けアクションプラン(汚水処理施設整備計画)の見直しを予定した自治体は、全国1719市町村中537市町村(令和3年末時点)だったことが分かった。令和2年度末時点の汚水処理人口普及率が92.1%(対前年度比0.4ポイント増)で、ここ数年の伸び率が年1ポイント未満にとどまっていることを踏まえると、残り5年を切った段階で見直しに着手した市町村が約31%という状況は、目標達成に黄色信号がともったと考えられる。
汚水処理施設の整備をめぐっては、もともと汚水処理を所管する国土交通省、農林水産省、環境省の3省が平成26年1月に都道府県構想策定マニュアルを統一的に見直し、今後10年程度で施設整備をおおむね完了(概成)させるとの目標を打ち出した。10年程度と年限を区切ったことで、これまではなかった“早期整備”という観点が重要になり、人口減少等で当初計画より効率が悪化し、進捗に遅れが生じた集合処理事業は、個別処理事業に切り替えるなどの対応が必要になった。
しかし同マニュアルによって全国の都道府県は令和元年度末までに構想の見直しを完了させたものの、いまだ計画と実態がかけ離れ、10年概成が困難な市町村があることから、3省は令和3年11月11日に「汚水処理施設の10年概成に向けたアクションプランの点検・見直しについて(依頼)」とする事務連絡を発出。各都道府県において汚水処理施設の早期整備に向けた進捗管理の徹底、アクションプランに掲げた目標が達成困難とみられる場合は同プランの見直しを行うよう改めて要請した。
今回の調査は、こうした3省の動きに対する令和3年末時点における市町村の対応をとりまとめたもので、令和3年末時点でアクションプランの点検を行った自治体は全国1719市町村中920市町村(約54%)で、見直しを予定した自治体は920市町村中537市町村(約58%)だったことが分かった。(続きは本紙で)