環境省は12月18日、東京・日本橋のAP東京八重洲通りで「平成30年度災害廃棄物対策推進検討会」を開催した。平成30年度災害廃棄物処理の進捗と、課題検証を行ったほか、同検討会の下に設けられた「技術・システム検討ワーキンググループ」「地域間協調ワーキンググループ」で検討中の課題が示され、技術・システム検討WGでは、南海トラフ巨大地震を想定した各府県の災害廃棄物処理計画の整理、地域間協調WGでは片付けごみの回収戦略と、現地支援チームのオペレーションマニュアル策定を行う方針を明らかにした。
片付けごみの回収戦略は、平成30年度7月豪雨において、災害廃棄物処理計画が策定されている自治体においても初動遅れが指摘された実態を受けたもので、倉敷市真備町をはじめとする過去の事例を参考に、収集運搬、仮置き場の体制構築について戦略を策定する。
具体的には3手法を想定しており、1点目は自治体が設置・管理する仮置き場への自力搬入を促進する。平成30年7月豪雨では、自治体が設置・管理する仮置き場以外に、市内の複数カ所に集積所が設置されたが、職員を配置することが困難であったことから生活ごみと片付けごみの混合化が進み、分別収集と公衆衛生上の支障となった。そのため自治体が管理する仮置き場へ搬入を促すことで、混合化の防止、回収車両の効率稼働等が図られる可能性がある。
2点目は公園等の集積所や、自宅の敷地内外に排出されたごみを回収する手法で、職員の配置数が削減され負担が減少するほか、自家用車が使用できない場合や、高齢者等でも自力でごみ出しが可能となる。しかし片付けごみの場所が分散するため、回収車両の確保や、場合によっては重機を複数台用意する必要、平時から町会や自治会との調整・協議が必要となる点が課題として考えられる。
3点目は、1点目と2点目の併用だが、どちらかのみを選択する場合と比べ、必要な人員、収集運搬車両が多くなる課題がある。
また現地支援チームのオペレーションマニュアルは、環境省とD.Waste-Netの派遣人員を対象としたもの。広域的・同時多発的に発生した災害では、過去の災害対応経験者だけでは人員が不足する可能性があり、体系的・効果的な支援を行うために、派遣前に準備しておくべき事項、発災後の段階に応じて求められる現地支援チームの役割や業務内容などをマニュアル化する。
今会合ではWGの検討内容について意見交換した上で、3月に予定する第2回検討会で最終報告を行うこととした。