総務省は9月30日、令和3年度地方公営企業決算の概要を公表した。このうち下水道3605事業(対前年度比1事業減、浄化槽等含む)の料金収入は1兆5226億円(同111億円増)と、これまで3年連続で減少し続けてきた状況から改善した。ただし令和元年度(1兆5367億円)の水準までには戻っておらず、依然として料金収入は減少傾向から脱していない。
下水道は雨水公費・汚水私費の原則により、汚水処理に要する経費は全て料金収入により賄うこととされている。これまでは下水道の面整備を推し進め、汚水処理未普及の解消とともに使用料収入の増加を図ってきたが、使用料収入は平成30年度、下水道処理人口は令和3年度に初めて減少に転じたことで明確な分岐点に立たされた。
直近の下水道処理人口の推移は、平成29年度1億31万人、同30年度1億74万人、令和元年度1億113万人、同2年度1億123万人、同3年度1億118万人で、通常であれば処理人口が増加していた令和2年度までは料金収入も増加している必要がある。
しかし実際の料金収入は、平成29年度1兆5567億円、同30年度1兆5537億円、令和元年度1兆5367億円、同2年度1兆5115億円、同3年度1兆5226億円となっており、令和2年度まで減少、同3年度にようやく反転した状況だった。
令和3年度の増加に関しては、新型コロナウイルス感染症で事業活動の縮小等の影響が強く出た同2年度の反動と考えられるが、これら一連の減少傾向は下水道の投資効果が見込めない地域に整備された、人口減少や接続率の低迷等により有収水量が減少した等の理由が考えられる。(続きは本紙で)