総務省は8月31日、令和5年度地方債計画案を公表した。一般会計債および公営企業債は内訳を含め令和4年度計画額と同額で、公営企業債の約5割はこれまでと同様に下水道事業が占めた。また臨時財政対策債(臨財債)は1兆3013億円で、令和4年度比4.7%(4792億円)縮減した。
臨財債は地方交付税の財源が不足した際に地方公共団体自らに発行させるもので、いわゆる赤字地方債に当たる。平成13年の導入当初は3年間の臨時措置という扱いだったが、2度にわたる延長で長期化し、過去に発行した元利償還金も同債で賄っていることから、現在では借金に借金を重ねるような形で発行することが常態化してしまっている。
近年のピークは平成25年度の6兆2132億円で、28年度は一度3兆7880億円まで縮減したものの、29年度以降は一般会計債、公営企業債の増額を抑え、代わりに臨財債で補てんするような状況が続き、令和3年度は再び5兆4796億円まで上昇するなどアップダウンが続いている。
また総務省では、臨財債1.3兆円と合わせ、地方交付税(うち法定加算等)で0.4兆円、建設地方債の増発で0.8兆円と、令和5年度の財源不足は2.4兆円と明らかにしている。
このうち公営企業債は、下水道事業が1兆2181億円とほぼ半分を占める。次いで多い水道事業が5566億円、病院事業・介護サービス事業が4193億円などで、下水道事業が突出して高いことが分かる。(続きは本紙で)