総務省が8月3日に開催した令和3年度地方財政審議会で、地方公営企業の現状と課題が議題に上り、上水道および下水道事業の広域化のメリットとして「スケールメリット(規模の経済)が働くことによる経営改善」を挙げていることが分かった。すでに国土交通省主導で、令和4年度までの計画策定など下水道事業の広域化・共同化が進められているが、人口減少による使用料収入の低下、施設の老朽化による改築更新費の増大、自治体財政のひっ迫という三重苦の状況にある下水道事業の着地点として、今後さらに推進される可能性がある。
説明は総務省自治財政局の坂越健一公営企業課長から行われ、ここで浄水場、あるいは下水処理場は高度経済成長期に建設された施設が多く、人口増加を想定していたために現在ではオーバースペック(過大)となっているケースが大半と指摘。平均稼働率は浄水場、下水処理場(流域)ともに約6割という状況からさらに減少中で、「広域化により有収水量が増加すれば、接続先の上・下水道も経営改善され、接続元と双方がWin-Winになり得る」と説明した。
また具体的な団体名は伏せたものの、平成24~28年で汚水処理施設を統廃合した185団体・284事業のうち、統廃合効果を算出した26団体のコスト削減効果を一覧にまとめ、いずれの団体においても最低1700万円から最高14億3920万円のコスト削減が図られたことを示した。
ただしこれらはあくまで処理場の稼働率を上げるだけで、抜本的な経営改善に取り組むには総務省がこれとは別に推進する「汚水処理手法の最適化(集合処理から個別処理への切り替え等)」も避けては通れない。(続きは本紙で)