災害トイレ備蓄世帯はわずか16.9%、日本トイレ研究所調査

大規模地震などの災害が発生するとトイレが使用できなくなる可能性があるが、自宅に「災害トイレ」を備蓄している世帯はわずか16.9%であることがNPO法人日本トイレ研究所の調査により分かった。また自宅のトイレが使用できなくなった際の行動としては33.9%が「避難所のトイレを利用する」、17.7%が「公園や公衆トイレを利用する」と回答しており、マンホールトイレや仮設トイレ、携帯トイレの備蓄、災害に強い浄化槽の整備など、避難者だけでなく周辺住民の収容も視野に入れたトイレ対策の重要性を浮かび上がらせる結果となった。

大規模災害時には便器に損傷がなくとも、トイレ排水管の破損、上水道の断水、下水道の破損等により高い確率でトイレが使用できなくなる。過去の震災でも「トイレ(不足)問題」は必ず発生しており、トイレの配備数が不十分さが衛生面の悪化(清掃が追いつかない、使用量が多い等)を招き、利用者は汚いトイレの使用を避けたいがために飲食を避ける、その結果エコノミークラス症候群などの健康問題にまで発展する事例が多数報告された。  今回の調査は、日本トイレ研究所が大地震におけるトイレ対策の実態を把握するため行ったもので、地域全体が停電・断水した場合に選ぶ避難先を尋ね、その際のトイレ対策についてアンケートしている。調査手法はインターネットを用い、東京都と大阪府在住の男女2000人(20〜79歳)に行った。

大地震発生時に停電・断水が発生した際の避難先は「自宅」が多く、67.2%が選択した。「避難所」は30.5%で、「自家用車」が1.9%、「その他」が0.5%だった。

その際、地震発生時に水洗トイレが使えなくなる可能性があることを「知っている」と回答したのは90.3%とほとんどが知っていたが、排水管が壊れている場合に逆流するリスクがあることを「知っている」としたのは56%だった。年代が上がるほど「知っている」割合が高く、20代で「知っている」のは44%だった。

また自宅のトイレが使えなくなった際の行動としては、33.9%が「避難所のトイレを利用する」、17.7%が「公園や公衆トイレを利用する」と回答。一方で「コンビニのトイレを利用する」としたのも12.2%あった。

防災グッズに関しては、「飲料水」は60.2%、「懐中電灯・ランタン」は57.5%、「食料品」は47.7%と高い確率で備えていたが、このうち「災害トイレ」を備蓄していると回答したのは16.9%と少なく、「自宅避難」を選択した回答者に限っても20%だった。排せつも飲食に等しい重要性を持つが、飲料水や食料品に比べ備蓄は遅れている。また全体的に東京都の回答者の方が備蓄率が高かった。